基本的には自由だと言っていいのですが、 ひとつだけ制限があります。 それは、矛盾を発生させるような命題の追加は許されない、 という制限です。
人間は、矛盾を含んでいる教義を信仰することができません。 ですから、共存型一神教の信者は、 自分の教義に対して命題を追加する際には、 それが既存の命題と矛盾するものではないかどうか、 十分に検討する必要があります。
命題を追加する場合と同様に、命題を修正する場合も、 その修正によって矛盾が発生することがないかどうかを 検討しないといけません。
何らかの既存の宗教の教義を 共存型一神教の教義の中に追加することを、 共存型一神教に宗教を「取り込む」(include)と言います。
一個以上の宗教を取り込んだ共存型一神教において、 その教義の中にいかなる矛盾も発生していないという状態のことを、 それらの宗教の「共存」(inclusion)と呼びます。
取り込みたい宗教の教義が矛盾を発生させてしまう場合は、 命題を修正したり削除したり追加したりする必要があります。
宗教を取り込むに際して、 その宗教の教義に含まれるすべての命題を、 そのまま教義に追加しなければならないというわけではありません。 もしも、そのままでは矛盾が発生してしまうならば、 共存型一神教の既存の命題または取り込む宗教の命題のどちらかを 修正または削除したり、 矛盾を解決するための命題を追加したりしてもかまいません。
そのようにして、 宗教の共存を実現するために命題の修正や削除や追加をすることを、 教義の「摺り合わせ」(adjustment)と呼びます。
はい、可能です。 ただし、共存型一神教に何らかの一神教を取り込むためには、 多少の摺り合わせが必要になります。
共存型一神教に多神教を取り込む場合は、 摺り合わせの必要性はほとんどないのですが、 一神教を取り込む場合は、 「この神のほかにはいかなる神も存在しない」という命題が、 多位一体とのあいだで矛盾を発生させますので、 それを解決するための摺り合わせをする必要があります。
取り込む一神教において存在が主張されている神が、 世界を創造したというような超越的な存在者である場合は、 「その神と第一原因とは同一の存在者である」 という命題を追加することが必要です。
さらに、 「この神のほかにはいかなる神も存在しない」という命題と 多位一体とのあいだの矛盾を解決するために、 その命題の解釈を変更する命題を追加する必要があります。 つまり、「この命題は、 「第一原因のほかにはいかなる根神も存在しない」 という意味である」 というような命題を追加するということです。