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[第一節]宗教

Section One: Religion

[第一項]価値観って何ですか。

「価値観」(sense of value)というのは、世界に対する認識や、 人間または社会のあり方について、 人間が持っている見解のことです。

「思想」(thought)や「主義」(principle)という言葉は、 「価値観」の類義語だと考えていいでしょう。 ですから、「何々思想」や「何々主義」という日本語の言葉は、 多くの場合、何らかの特定の価値観のことを意味しています。

社会のあり方を主要な対象とする価値観は、 「イデオロギー」(ideology)と呼ばれることもあります。

[第二項]超自然的って、どういうことですか。

「超自然的な」(supernatural)というのは、 実証的な方法によって認識することができない、 ということです。

実証的な方法というのは、具体的に言えば、 実験や観察などのことです。

たとえば、霊魂、運命、死後の世界、宇宙の存在理由などは、 実証的な方法によって認識することができませんので、 それは「超自然的な対象」であると言われます。 また、 「霊魂は不滅である」とか「未来はすでに決定されている」とか 「死後の世界が存在する」というような、 超自然的な対象に関する命題は、 「超自然的な命題」と呼ばれます。

「超自然的な」の同義語として、 「形而上の」(metaphysical)という言葉が 使われることもあります。

[第三項]不可知論って何ですか。

「不可知論」(agnosticism)というのは、 「超自然的な命題は、 実証的な方法によって真偽を確定することができない」 という命題のことです。

第二項で説明したように、 「超自然的な」というのは 「実証的な方法によって認識することができない」 ということですから、 超自然的な命題の真偽は、 実証的な方法では確定することができません。 したがって、不可知論は真である、という結論が得られます。

[第四項]信仰って何ですか。

「信仰」(faith)というのは、人間が、 超自然的な特定の命題について、自分自身の見解として、 その真偽値の一方を主体的に選択することです。

ですから、ある人間が、 「霊魂は不滅である」とか「未来はすでに決定されている」とか 「死後の世界が存在する」というような超自然的な命題について、 自分自身の見解として、 「この命題は真である」または「この命題は偽である」 のいずれか一方を主体的に選択しているならば、 その人はその命題を「信仰している」(believe)と言われます。

[第五項]宗教って何ですか。

「宗教」(religion)というのは、 超自然的な対象に関連する価値観のことです。

宗教の多くは、教義と儀礼から構成されます。 ただし、例外的に、儀礼に相当するものを持たない宗教や、 明確に意識される教義を持たない宗教も存在します。

教義については 第六項、 儀礼については第七項を 参照してください。

[第六項]教義って何ですか。

何らかの宗教が、その宗教を持っている人間に対して、 真であると信じることを要請する命題の集合を、 その宗教の「教義」(dogma)と呼びます。

教義は、超自然的な命題を含んでいます。 したがって、人間が何らかの宗教を持つということは、 その宗教の教義に含まれている超自然的な命題について、 その真偽を主体的に選択しているということを意味します。 ですから、宗教を持っているということを、 宗教を「信仰している」(believe)と言うこともできます。

[第七項]儀礼って何ですか。

何らかの宗教が定めている、 それを持っている人間またはその集団によって実行される 定型化された行動を、 その宗教の「儀礼」(ritual)と呼びます。

儀礼は、通常、 何らかの超自然的な効果を期待して実行されます。

[第八項]戒律って何ですか。

何らかの宗教が、 それを持っている人間に対して 遵守することを要請する命令の集合を、 その宗教の「戒律」(precept)と呼びます。

戒律は、たとえば、「毎日、決まった時刻に礼拝をせよ」とか、 「動物の肉を食べてはならない」というような いくつかの命令から構成されています。

戒律の存在は、 価値観が宗教であるための必要条件ではありませんが、 宗教の多くは戒律を伴います。

[第九項]信者って何ですか。

何らかの宗教を持っている人間を、 その宗教の「信者」(believer)と呼びます。

日本語では、「信者」の類義語として、 「信徒」という言葉が使われることもあります。

[第十項]教団って何ですか。

同一の宗教を持つ人間たちによって形成された社会集団を、 その宗教の「教団」(religious community)と呼びます。

「宗教」という言葉は、 教団という意味で使われることもあります。

[第十一項]教祖って何ですか。

何らかの宗教について、 その宗教を創始した特定の人間が存在する場合、その人間のことを、 その宗教の「教祖」(founder)と呼びます。

日本語では、教祖は、 「開祖」「開山」「開基」「創始者」「創唱者」などと 呼ばれることもあります。

[第十二項]教典って何ですか。

何らかの宗教において、 その宗教の教祖または信者たちによって書かれた、その宗教の教義、 儀礼、戒律などが記述された文書を、 その宗教の「教典」(scripture)と呼びます。

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